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むっ、というような雰囲気に気づいた私は立花君を見上げると、その眉間にやや皺が入ってしまっているのが見えてしまった。
「……何笑ってんの」
「な、なんでもない」
隠れて笑うつもりが見られてしまっていたようで、慌てて私は鞄で口元を隠す。
でも初めて、立花君の表情変化が見えたのでやっぱりまた笑ってしまった。
「あれ? 実習棟に行くんじゃないの? こっちだよ?」
階段を下りた私達は一階の廊下を歩いていた。
その廊下は実習棟に向かうルートだと思ったけれど、立花君はその途中にある生徒玄関と呼ばれる昇降口に行ってしまったのだ。
足を止めて私は指を差すけれど、立花君は一年三組の下駄箱に行ってしまう。
生物部なのだから実習棟にある理科室に向かうと思っていたのに。
立花君はスニーカーをとんっ、と床に置く。
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