第1章 秘密の花園

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「部室は実習棟じゃないぞ。旧校舎にある」 「旧校舎って、グラウンドの階段あがったとこの森の中にある廃墟みたいな?」 「そう。グラウンドの階段あがったとこの森の中にある廃墟みたいな」  うっ。  そのまま同じく繰り返されてしまった私は実習棟に向けていた指を力なく下ろした。  私達が通う高校は歴史が古く、今の校舎は新しくなっているけれど、木造の旧校舎はそのまま残されているのだ。 記念だか何だかだったはず。 それはグラウンドが見下ろせるほどの高い丘のような場所にあり、あまり近づく人もいないのか木や草が覆い茂っていて、まるで森みたいになっている。 亜希は森には小さすぎるから小森(こもり)だな、なんて言っていた。 その方がしっくりくると言ったらくるけれど。 二階建ての廃墟、じゃない、旧校舎は、その小森のおかげで屋根部分しか見えない。 立ち入り禁止だと思っていた旧校舎にまさか生物部の部室があるなんて思いもよらなかった。 もしかしたら他の部も部室として使っているのだろうか。
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