第1章 秘密の花園

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「はいはい行くぞ、ちっこいの」 「こ、子犬みたいに言わないでよっ」 「俺、猫派」 「あ、私も。って、そうじゃなくて!」  ズボンのポケットに手を突っ込んで少し猫背で歩き始めた立花君の後を私は、ぱたぱた、と追う。  立花君ってなんか、イメージ違うなぁ。 全然話した事はなかったけれど、静かな人だなとか思ってたのに、結構お喋りだし。 そもそも私は人見知りのところがあって、クラスメイトの男子と喋る機会もそうない事なんだけれど、なんか……喋りやすくしてくれてるのかな。 気を使わせちゃってる、とか。  と、立花君は首だけ振り向いてこう言った。 「もうちょっと早く歩けない?」  前言撤回する。 気なんかちっとも使ってなかった。 背が高いのと低いのでは歩幅が違って当たり前なのに、これでも結構早く歩いてるのに、と私は口を尖らす。 私はまた、ぱたぱた、と小走りで立花君の横に並んで歩き出した。
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