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何十分経ったのか、もう一時間過ぎたのか。
ふーっ、と息を吐いた私は最後のページに右頬を乗せ、風が通る窓の外を見た。
さっきよりも少し、空が夕陽色に染まっている気がして、夢中で読んでしまっていたのだと気づく。
「……面白かった。最後、よかった」
最後のページではないけれど少し泣けるところがあって、思い出して涙が出かかった私は目を閉じる。
瞼の裏に登場人物達の想像図が浮かんだ。
窓から聞こえる運動部の人達の声がそれに連動する。
走る音や、掛け声。
頑張っている人の声。
……さん。
亜希、頑張ってるかな。
頑張ってるよね、真面目だもん、あの子。
……野さん。
うーん……本、読むのはいいけれど、一言感想って難しいよ。
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