第1章 秘密の花園

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「はい、立花です。何度も蝶野さんって呼んだんだけど、なんか世界に入っちゃってて全然聞こえてなかったみたいだな」 「ご、ごめんなさい」  立花君。 立花太陽(たちばなたいよう)、って名前だったっけ。 私のクラスメイトで、出席番号が五十音順のため私の一つ前の人で、席も席替えしていないから私の前の人で。  ひぃー、立花君と初めて喋ったよー……どうしよー……。  横顔で横目のままに立花君は、ちらり、と私を見た。  うっ。 「ご、ごめんなさい」  どこを見ていいのかわからなくて、私は目を泳がせてしまった。 何故か恥ずかしさが込み上げてきていて、顔が熱い感じもする。 「なんで謝んの?」 「うっ。えーと、その、なんか、気づくまでお待たせしてしまったようなのでー……」  しどろもどろとしてしまった。
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