第1章 秘密の花園

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「平気。ぼーっとしてたし」  確かに、と思った。 横顔から正面に顏を向けた立花君は、ぼー、っという擬音語がぴったりの顔をしていたからだ。 少し眠そうな、力が抜けているような、興味がないような。 「で、栞だけど」 「あ、はい。どうぞ」 「ん」  立花君はアルストロエメリアの押し花の栞を受け取る。 その時、立花君の指に切り傷のようなものがあるのに気付いた。 血は止まっているみたいだけれど、中の肉的な色が見えて痛々しい。 しかし、どうして立花君は自分の栞を私が持っているとわかったのだろう。  超能力者?  なんて、現実味がない事はわかっているのに首を傾げてしまったけれど、そんな部活もあったよね、と思い出す。 「その本、良かっただろ」  学ランの上着を着ていない立花君は、白いシャツの胸ポケットに栞をしまいながら聞いた。
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