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「ねぇ、こっちのお店も見ていい?」
茉莉花はさっき店を出たところやいうのに、もう次の店へと足を進めとった。
「ったく…。もうそこで最後だからな!」
少しだけ声を荒げ、怒っとる様で怒っとらん結城はんは、どうも茉莉花に弱いようで。
(惚れたもんの弱み、いうことか…)
茉莉花が入って行った店に、うち以外は仕方なしに追い掛けるように入って行く。
見渡すと一角には京都らしい簪や櫛などの小物が陳列されとるものの、主体は古道具屋のようで、様々な品物が置いてある。
盛り上がっとる茉莉花とうちは、綺麗に陳列された小物をあれやこれやと眺めとると、後ろから「ちょっと来い」とゆうが手招きした。
「どうしたん?」
言いながら近づくとゆうは手に持っとったもんをこちらへと手渡す。
「…似てると思わないか?」
結城はんの問い掛けに、うちらは一瞬声が出えへんかった。
ゆうから手渡されたもんは一枚の古い写真。
3人写っとるその真ん中で、微笑む女性。
着物を着て、しっかり化粧を施されとったけど、一目見ただけではっきりとわかった。
この女の人が、うちらに似とると…
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