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うちと茉莉花は物心付いた頃から容姿がよう似とった。
同い年なんやけど、今も昔もよう姉妹に間違えられる。
せやけどお互いに自身の親にも似とらんし、隔世遺伝か何かで偶然似てしもたんやろうな。
「このカメラで撮ったのか?」
ゆうが棚に飾られとった、とてもやないけど売り物やなさそうな木製の箱を手に取る。
ようと見るとそれにはレンズやシャッターみたいなんかが付いとって、相当昔に造られたカメラやと簡単に推測出来た。
「無闇に触って壊さんとってや。そんなん、弁償出来るような物とちゃうみたいやし…」
昔から肝心な所で失敗ばかりして来たゆうを心配するうちを他所に「大丈夫」なんて答えながら、自撮りするかのようにカメラを構え、シャッターらしき物に指を伸ばしたその刹那。
──パシャッ!
写真が撮れたかの様な音と同時に、目の前が光で真っ白になった。
「っ!……」
うちは何が何だかわからへんままに、意識を手放した…
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