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毎朝違う天井なのは、もうとっくに慣れた。
ベッドの感触も部屋のにおいも、全部が全部、その日限りのものだ。
ただ一つ、両サイドから顔を覗き込む二人以外は。
右側にいる一人は男の子で、左側にいるもう一人は女の子。二人は俺が起きるのを待ち構えていたようだ。
「「きょーすけ、おはよ!」」
俺の意識がある程度はっきりしてきたのを確認してから、声を重ねてそう言う二人。
朝の光景でこれだけは変わらない。起きるのがいちばん遅かったやつにこうするのが俺たちの日課だ。
俺は体を起こし、短く二人に
「おはよう」
と返す。
こんな何気ないやり取りも二人にはうれしくいらしく、そろえて顔を綻ばせた。
それを見てる俺もきっと、少し表情が緩んでいると思う。
こんな生活でも心安らぐ瞬間があるのは、二人のおかげだ。
故郷からいくら離れようと、一夜を過ごすのが安ホテルだろうと野宿だろうと、どんなに疲れて傷付こうと、二人が笑って居てくれれば何も不満なんてないんだ。
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