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「俺は、ずっと・・
ここにいて欲しいって思ってる」
ゆっくり口にした俺の気持ちを聞いて、
ユキは、やっとこっちを見た。
ユキの今にも泣き出しそうなくらい
悲しそうな表情に、
胸がざわつく。
「時間は、もう、戻らないの。
以前の関係に戻ることなんて、できないんだよ。
だから・・
私は、出て行くよ」
ユキは、微かに震える声で、言った。
時間は、もう、戻らない・・か・・。
ズシっと胸に重くのしかかって、
痛い・・。
「じゃあ、おやすみ」
クルリと体の向きを変え、
部屋に入っていこうとするユキの腕を
俺は、思わずギュっと掴んでいた。
久しぶりに触れた。
細い手首。
なめらかなユキの肌・・。
やっぱり、離したくなんて、ない。
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