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このまま抱き寄せたい。
だけど、確実に、嫌がられるよな・・。
俺は手首を握った腕に少しだけ力を入れた。
「・・明日、仕事休みならさ、
不動産屋に行く前に、
ちょっとだけ、
付き合ってよ・・」
頼む・・。
祈るような気持ちで、言った。
「え・・?
だって、明日、平日だよ?
要、仕事・・」
驚いて俺の顔を見上げるユキ。
掴んだ手から、ユキの小さな動きが伝わる。
「仕事は有給取るよ。
ユキと一緒に行きたいところがあるんだ」
「・・・・?
いい、けど・・」
小さく首をかしげながら、
ユキは頷いた。
良かった・・。
ふぅっと息を吐き出すと同時に、
掴んでいた手も離した。
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