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「弁償します」
「当然だ」
激しく落ち込む私に、栗生君は当たり前だが容赦ない。というか……こんなにSキャラだったっけ?
「でも……」
でも?
思わず顔を上げると、ぐいっと左手を引かれる。赤面し、沸騰寸前の私の手を上から下からと栗生君は確認する。そして、いつもみたいに頷いた後、
「怪我、なくてよかった」
目を細め、にっと笑うから……キューンッと心臓が鷲掴みにされてしまったではないかっ!
あーちゃんは言った。
『アイツ……ああ見えて俺様タイプらしいよ?』
眼鏡で俺様……ドンピシャすぎて吐血しそうです……!
「帰りさ」
「はい」
「眼鏡屋まで連れてって」
「よよよ……喜んでっ!」
その後、食い下がる私を華麗にあしらい、栗生君は自腹で新しい眼鏡を購入した。
丁度、買おうと思っていたからいいんだ、と。
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