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◆◆◆
「はぁ? 完璧にいい感じじゃん」
自惚れだなんて思いたくない。だって、だって彼は……
「お。噂をすれば」
そう言って、にやにや笑いのまま、あーちゃんは席を立つ。
「はよ」
「……おはよ」
いつもの朝、いつもの隣の席。でも一つだけ違うのは……
『どれがいい?』
私が選んだネイビーのスクエアフレーム。じっと見てしまったら、栗生君は意地悪く口角を上げた。
「篠田」
「は……はいっ!」
「次の休み、空けとけ」
「え?」
それって……もしかして?
「先代のお詫び、きっちりしてくれよな」
ことんと机上に置かれた眼鏡ケース。蓋が開かれると、今まで彼が使っていた必須アイテムが鎮座していた。
「あのね、栗生君」
「何?」
「眼鏡、どうしてかけてるの?」
「どうしてって……視力、悪いからに決まってるだろ?」
優しい人、と書いて優人君でしたよね?
軽い目眩と痺れる様な甘い痛み。
こうして私は、あなたに恋を始める。
【眼鏡男子心酔女子・完】
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