眼鏡男子心酔女子

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 想像してみて。  レンズの奥に宿る瞳は限りなく優しくて、でもよく覗き込まなくちゃ知る事は許されない領域なの。  無骨な、でも細くしなやかな指先で中央をくいっとするのも、向かって右側をすって上げるのも、黒縁も銀縁も……あーーーっ! 「眼鏡、ヤバすっ!」  悪い癖だと自覚してる。だけど、思わず叫んでいた。  ◆◆◆ 「そんな一昔前の少女漫画的展開、あるの?」  親友のあーちゃんこと、安達愛美(あだち・あゆみ)にツッコまれても、私、決してメゲマセン! 「それがあったのでございますよっ!」 「鼻息、荒すぎ……」  はっと両手で高くもなく、どちらかといえば低い鼻を押さえる。  頬杖ついたあーちゃんは不思議の国にいる顔だけ猫のごとく、にやにやと笑みを浮かべた。 「で? 栗生の素顔は?」 「それが……」  思い出しただけで鼻血が噴き出しそうで、押さえていた力を二倍にした。
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