45人が本棚に入れています
本棚に追加
想像してみて。
レンズの奥に宿る瞳は限りなく優しくて、でもよく覗き込まなくちゃ知る事は許されない領域なの。
無骨な、でも細くしなやかな指先で中央をくいっとするのも、向かって右側をすって上げるのも、黒縁も銀縁も……あーーーっ!
「眼鏡、ヤバすっ!」
悪い癖だと自覚してる。だけど、思わず叫んでいた。
◆◆◆
「そんな一昔前の少女漫画的展開、あるの?」
親友のあーちゃんこと、安達愛美(あだち・あゆみ)にツッコまれても、私、決してメゲマセン!
「それがあったのでございますよっ!」
「鼻息、荒すぎ……」
はっと両手で高くもなく、どちらかといえば低い鼻を押さえる。
頬杖ついたあーちゃんは不思議の国にいる顔だけ猫のごとく、にやにやと笑みを浮かべた。
「で? 栗生の素顔は?」
「それが……」
思い出しただけで鼻血が噴き出しそうで、押さえていた力を二倍にした。
最初のコメントを投稿しよう!