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「めっさ……」
「めっさ?」
私は再び叫んだ。
「めっさイケメンだったんですけどーっ!」
すると、あーちゃんが一言。
「ベッタベタやなぁー」
「いいんです! ベタな展開でも!」
「己の世界に逃避したか……夏帆(かほ)よ」
親友の哀れみの眼差し、届かず!
私の記憶は昨日の放課後の至福の一時に飛んでいた。
◆◆◆
きっかけは些細な事だった。私は日直で、噂の栗生優人(くりゅう・まさと)君もそうだったのだ。
日直というものは、意外にもハードな仕事だ。他のクラスメイト達より、ちょっとだけ早く登校したら、窓をフルスロットルで全開にし、教室に立ち込める『若さゆえ』という一種独特な澱んだ空気を入れ換えねばならない。
次いでベランダに並ぶプラスチックの長方形の植木鉢に植えられた未来のグリーンカーテン候補であるゴーヤに水をあげる。
朝顔とか他の蔓性植物ではなく、あえてゴーヤなのは単純に園芸部の金城(きんじょう)さんの好みだ。
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