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クラスメイト達は既に誰もいない。残っていたのは日直である私と栗生君だけ。
授業が終わり、担任の工藤先生こと、くどっちの都合で帰りのホームルームが急いで行われた。
よって、六限目の世界史で使用した世界地図やら資料を社会科準備室に返しに行くのが遅くなってしまったのだ。
「俺、一人で行けるから」
「じゃあ、私はコレを仕上げちゃうね」
机の中から日誌を出すと、栗生君は無表情で頷く。
実はこの時は、まだ彼の事を何とも思っていなかった。だから、いなくなったのを十分確認してから、本当に小さな声で呟く。
「無愛想だな……でも眼鏡男子なら許せる!」
さて、やっちゃいますかと気合いを入れ、ペンを走らせる。
休み時間の間に、ある程度は書き進めていたので、すぐに書き終えた。やる事がなくなったと思いながら、顔を上げる。
「あ」
正面の黒板、左半分にはまだ、ばっちりと四大文明についてが残っていた。そして右半分には、中途半端に所々が消し忘れられた状態が継続。
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