眼鏡男子心酔女子

9/11
前へ
/13ページ
次へ
 いつもはきちんとセットされている髪を、真っ白に染めた眼鏡なしの栗生君が、明らかに私を睨み付けている……! 「はわわっ! ごめんな……」 「あ、そこ」  さい、と言い終わらない内に、パリンッと嫌な音が鼓膜を震わす。  後ろに仰け反った時、床に着いた左手の先に……黒縁眼鏡……!  ああ……神聖なアイテムを……破壊してしまったーっ! 「どうでもいいけどさ」 「はははっ……はいっ!」 「どいてくんない?」  言われて改めて気付く。この体勢、まるで私が栗生君を押し倒してるみたいじゃないかーっ!  大好きな眼鏡を壊してしまった事。黒板消しをジャストミートさせてしまった事。そして栗生君の上に、ののの……乗っかってしまった事が、ビッグウェーブとなって私に襲いかかった。  ◆◆◆ 「何も見えねー」  まだ粉っぽい前髪をひとつまみして、栗生君が呟く。あぐらをかき、黒板の下にある空間に背を預けている。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加