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いつもはきちんとセットされている髪を、真っ白に染めた眼鏡なしの栗生君が、明らかに私を睨み付けている……!
「はわわっ! ごめんな……」
「あ、そこ」
さい、と言い終わらない内に、パリンッと嫌な音が鼓膜を震わす。
後ろに仰け反った時、床に着いた左手の先に……黒縁眼鏡……!
ああ……神聖なアイテムを……破壊してしまったーっ!
「どうでもいいけどさ」
「はははっ……はいっ!」
「どいてくんない?」
言われて改めて気付く。この体勢、まるで私が栗生君を押し倒してるみたいじゃないかーっ!
大好きな眼鏡を壊してしまった事。黒板消しをジャストミートさせてしまった事。そして栗生君の上に、ののの……乗っかってしまった事が、ビッグウェーブとなって私に襲いかかった。
◆◆◆
「何も見えねー」
まだ粉っぽい前髪をひとつまみして、栗生君が呟く。あぐらをかき、黒板の下にある空間に背を預けている。
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