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「なあ、ゆず。子供産みたいか?」
「うん。産みたいよ。」
「そうか。ちょっとな、約束して欲しいことがあるんだ。」
「なに?」
「俺はね、子供ができたことすっげぇ嬉しい。できれば産んで欲しいとも思う。でも、その子供のせいでお前を失うのがとても怖いんだ。本で男性妊娠の事調べたんだ。さっき病院の先生にも言われたけど、女性と比べるととても危険性が高い。お腹の子供も危ない目に合うかもしれないし、母体であるお前の身体も危ない目に合うかもしれない。正直、本当に怖いんだ。」
優しい優しい俺の旦那様。
こんなに考えてくれてたなんて初耳だよ。
「だからな、本当はこんな事考えたくないんだけど。もし、子供かお前を選ばなきゃいけなくなったらお前を選ばせて欲しい。」
驚いて目を見開き、淳の横顔を見つめる。
「本当に最悪な親でごめん。でも、俺にはゆずがいなくなるなんて考えられない。本当にごめん。」
今にも泣き出しそうな顔をしている淳は愛おしそうに俺のお腹を撫でる。
ああ、本当にこの人は。
「わかったよ。大丈夫だからね。」
「ああ。あり、がとう。」
「ほらほら、お父さん。泣かないでください。」
「うっ。泣いてないっ」
「ふふっ。思いっきり泣いてるじゃん。大丈夫。わかりましたよ。それと、ありがと。」
「ううぅ。ないてなんかないぞ。」
「いやいや、泣いてるってー。あとさ、俺も約束して欲しいことがある。あのな、たまに手を握って欲しいんだけど………。」
なんか、すっごいびっくりした顔で見られてる。
恥ずかしいからやめて欲しいんですけど。
「だ、だめかな……?俺、手を握ってくれるとよく寝られるし安心するんだ」
ぎゅううう
「いたいいたい!」
「良いに決まってる!」
痛いくらいに左手を握られた。
ちょっと赤くなってるよ!
「一緒に頑張ろうな」
「うんっ!」
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