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「おじゃまします」
「ただいまー」
「「ゆずちゃーーーん!!」」
「はいはいストップ」
「「えー?!なんでー!」」
淳の実家にきて双子がいるときは毎回恒例の俺に抱き着くイベントは淳によって阻止された。
「はいはい。なんでも。あと、お土産買ってきたから冷蔵庫入れとけ」
「「はーい」」
不貞腐れながらもお兄ちゃんの言うことはちゃんときくみたいだ。
「あらっ。いらっしゃい!さあさあ、外は暑かったでしょう?リビングで座っててちょうだい。お茶出してくるわ。」
「ありがとうございます!」
いつも綺麗な淳のお母さん。
こんなに美人なのに大きい子供が四人もいるなんて信じられない。
長い廊下を抜けて突き当たったドアを開けるとキッチンに菜々子さん、キッチンの前にあるデーブルに淳のお父さんが座っていた。
「おじゃましてます。」
「いらっしゃい!」
「よく来たね。ゆずくん。淳も久しぶり。ゆっくりしていってな。」
「はい!ありがとうございます」
あったかい家。
あったかい家族。
小さい頃からの憧れが今目の前にあるのがとても嬉しくてこそっと淳の顔を見上げた。
すると目がタイミング良くあった。
「?どうした?体調悪いのか?」
「ううん、平気。なんでもない。」
「ほらっ、いつまでも立ってないで座ってくださいな」
菜々子さんに催促されながらソファに座る。
そのソファがかなりフカフカで人一人が寝そべってもまだ余裕がありそうでいくらするのだろうと考えてしまう。
「あ、俺なにか手伝いま……」
淳のお母さんと菜々子さんを手伝おうとソファから立った瞬間、血がさーっと下がり目の前が一瞬暗くなった。
「ゆずっ!大丈夫か?目眩か?」
咄嗟に淳が立ち上がり俺を抱きとめた。
「う、ん。ちょっと、くらっと、した、だけだから……」
「無理するな。とりあえず、横になって目つぶっとけ。」
「うん……。ごめっ…。」
長いソファの上に横になって淳に膝枕をしてもらった。
そして、安心するからと家から持ってきた鞄の中からお気に入りのタオルケットを出し、掛けてもらった。
「ゆずくん、体調悪いの?大丈夫なの?」
「母さん。少し休めば大丈夫だと思う。ゆずが落ち着いたらゆずの体調の事とか、昨日電話で話した聞いて欲しいことを話すから待っててもらっても良い?」
「ええ。わかったわ。」
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