第1章

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目が覚めるとお昼時になっていた。 朝淳が作ってくれた卵粥を器によそいテレビをつけてソファに座った。 それはちょうどお昼のニュースとやらで。 またチャンネルを変えるのが億劫でそのままぼんやり見つめていた。 『次のニュースです。最近、"産む男子"と言う言葉をよく耳にするのですが、どのような事なんですか?××さん。』 『えっとですねぇ。簡単に言うと、男性と男性の間で子供を授かるということですね。』 『そんなことができるのですか?』 『はい。医学的にはまだ詳しく解明されてないんですけれども、現在世界中の地域でその様な現象が起きているんですよ。そして、日本にも百組以上の男性同士のカップルにこの様な現象が起きているんです。』 へー。すごいな。 この時は他人事でまさか自分の身にそれが起きるのだと、思ってもみなかった。 でも、どこか淳との子供を期待している自分がいていつの間にか食い入る様にテレビを見た。 『そして、この現象はとても日本にとって大変重要な事になるでしょう。』 『どうしてでしょうか?』 『それは少子化の打開策になると政府が期待しているからです。恐らく、これからは同性間の結婚も認められるでしょう。』 『すごいですね!子供が増えれば経済の活性化も期待できますね。』 『そうですね。また戸籍制度もきちんと整備しなければ生まれてくる子供が無戸籍になってしまうので、これからの政府の動きの素早さが重要ですね。そして、男性は妊娠という事の知識が余りないので少しでも体調がおかしいなと思ったらすぐ病院に行くことをお勧めします。』 『自分が妊娠しているにも関わらず、無理をして流産してしまったら大変ですね。』 『ーーーーーー』 途中、お腹一杯になってしまったのでローテーブルに中身がちょっと残っている器を置いた。 起きているのが疲れてしまったのでソファに横になりながらテレビを見ていると睡魔が襲ってきた。 そして、気付いたら寝てしまっていた。
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