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瀬織は、ドジコの記憶操作等をしてから、自分の意識を消した。
妊娠と、統創天会がらみの記憶を根こそぎ残さなかったのだ。
スラリは、肩をすくめた。
「ホントに人間とは思えないな。
あの人は。
あ、人間じゃねえか。」
ドジコが目が覚めたということで、ナデシコや、シズカ、ハカセが駆けつけた。
その後、米本がきて、診断をした。
仙人体の診断など、医者にはできない。
米本が診るしかない。
体の方は、同調が完璧で、不都合はなかった。
外観も、おおよそは、元のドジコの体である。
しかし、ドジコへの事情の説明は、米本も話しにくいので、先伸ばしにしてなかなか切り出さない。
見かねて、ハカセは
「米本大臣、いきさつは、私から話そうか。」
と、診断を終わらせた米本に
問いかけた。
米本は、あっさりと、
「お願いするわ。
最近は、私もぬるいのよ。」
と、言う。
ハカセは、ベッドサイドの椅子に、どかっと座った。
「ドジコ、なんで入院してるか、説明をする。 」
ドジコは、にぱっと笑った。
「きっと、ろくでもない話なんでしょうね。」
「ああ。クソな話だ。
すまんが、話すぞ。」
「どうぞー。」
ドジコは、平気だ。
ハカセは咳払いをした。
「あー、統創天会に、ドジコは、ラチられて、暴れた。
数人怪我させた。
警察が、統創天会に、捜査の手を伸ばした。
証拠隠滅のため、ドジコは切り刻まれて、棄てられる直前、アネサン到着、
すでに虫の息のドジコ。
アネサンは、自分の体に、ドジコの意識を移植、元のドジコの肉体まもなく、死亡。
以上。」
ハカセの話は、ドライである。
余計なことは言わないし、不自然に隠しているところも多い。
ドジコは、およそわかったようだ。
「じゃ、私、死んじゃったんですね?」
ハカセは、
「まあ、そうだ。」
と、答えた。
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