5人が本棚に入れています
本棚に追加
「道理でおかしいと思いました。
この体、下半身に"おけけ"がないし、
お肌すべすべ過ぎるし、
トイレに行きたくならないし。」
ドジコは、あはは、と笑う。
だが、
「で、アネサンは?」
と、聞いてきた。
ハカセは、ふっと笑う。
「すぐに、新しい体を造って、現れる。
何たって、すでに数回、体を新しくしているからな。
お手のものだ。」
ドジコは、目を閉じた。
「そうですね。
では、私はお役ごめんになりましたね。
…
もう、子孫繁栄には貢献できません。」
米本を始め、他のメンツも、そこは、フォロー出来なかった。
が、ハカセだけは、クックックッと、含み笑う。
一同が、ハカセを見た。
ハカセは腰に手を当てて、立ち上がる。
「そんなこともあろうかと、この前、陣平との人工授精実験のために、ドジコの卵子を採取を数回分行ったろう?
アレは冷凍保存してある。
陣平のタネさえあれば、子供が出来る。
腹は、私が貸してやる。
ここの誰でも、貸せと言われれば貸すだろう。
だが、実の母親が要らない存在の訳がなかろう。」
全員、力抜けした。
ドジコは翌日、退院した。
喜んでばかりもいられなかった。
瀬織がどこに再生するのか、わからない。
米本によれば、
「気の集まりやすい聖地や、安心できる人の近くで、再生すると、考えられるけど、瀬織はもう、そういうことに縛られないレベルにあるわ。
どこでも、望むところで再生出来る。」
ということで、念のため、全国の警察には、目撃したら、連絡するように伝令された。
問題は、元と同じ顔で、再生するかどうかもわからない。
米本ほど簡単には、容姿を変更できなかった瀬織だが、今回は、あるいは今は、どうなのか、わからない。
だが、数日後の朝には、懸念に関わる事態が発生する。
最初のコメントを投稿しよう!