滅亡

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その日は日曜だった。 ナデシコが、一番先に起きて、キッチンで朝食の支度を始めた。 テレビをつけている。 それまでの画面が、アナウンサーの顔に切り替わり、臨時ニュースが流れた。 「臨時ニュースです。 エベルキン大国の首都、ソレル市に、壊滅的な被害が出ており、通信が途絶えております。 被害の発生原因は不明ですが、何らかの軍事活動と考えられており、政府機能、通信機能、軍事機能、航空施設、港。広報機関の活動が停止、被害者の総数は不明。 駐留していた邦人には、先んじて何者かによる勧告がされており、日本大使館に保護されている模様です。」 ナデシコは、全員を起こし、テレビの前に集合した。 シズカが、 「まさか、エベルキン大国で再生したということ?」 と、誰にともなく、話す。 ハカセは、いくぶん冷静で、 「海で再生したかもわからんし、日本のどこかかもしれない。 飛んでいけば、エベルキン大国はすぐにつく。」 と、訂正する。 テレビは、どのチャンネルも、そのニュースばかりだ。 アナウンサーは、裏方から、メモを受けとり、 「あ、ただいま、新しいニュースが入りました。 エベルキン大国と戦争状態にあったサシン帝国が、侵攻を開始したとのことです。 衛星の写真から、この侵攻は…」 米本に連絡を取りたいところだが、ナデシコが 「今は、この騒ぎでは、米本大臣も本職でいっぱいいっぱいのはずだから、あちらから連絡が来るまで、待ちましょう。」 と、全員に念を押した。 モヤシから電話連絡が、ナデシコの電話に入った。 ナデシコが受ける。 「はい、ナデシコ。」 「そこにいるメンツは、総員待機、 場合によっては、出番があるかもしれない。」 それだけ言うと、モヤシは電話を切った。
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