滅亡

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それから3日の間に、事態は進行した。 エベルキン大国には、同盟国のメリアン合衆国の軍隊が駐留している。 これが、サシン帝国の侵攻を食い止めた。 その一方、港にある船は、次々に何者かの襲撃により沈められた。 首都以外の都市でも、何者かによる無差別の破壊活動が発生、逃げる船もなく、エベルキン国内は、パニックに陥り暴徒と化した民衆により、地獄に変わった。 何とか、メリアン合衆国の軍により、邦人は脱出、これらにより、少し、エベルキン大国内の情報が日本のマスコミにも漏れた。 エベルキン国内での人的被害のほとんどは、暴徒と化した民衆によるもので、謎の襲撃者は、一般人には手を出していないことがわかった。 施設や船も、破壊はしているが、直接、人は襲われていないという。 その襲撃者については、まったくわからないまま、1週間が経過した。 ずっと待機を命じられている右道宅の面々は、連日、テレビにかじりつくしかなかった。 その朝も、リビングに寄り集まって、テレビを見たり、ノートパソコンで、情報を拾ったりしている。 びくん、と、シズカが顔をあげた。 スラリも立ち上がる。 ドジコも、キョロキョロし出した。 シズカが、 「2階だ。」 と、つぶやく。 ハカセは、 「何だ?」 と、きく。 ドジコが、 「アネサンの気配です。」 と、言うと、2階に駆け出す。 全員続いた。 2階の瀬織の部屋を開ける。 もやっとした影が、部屋の中央にいる。 見る間に、それは人の形になり、実体化した。 全体が細く、髪が長い。 女性の体だ。 顔までわかるようになってきた。 端整な顔立ちが現れる。 瀬織が、帰ってきた。 目を閉じて立っていた瀬織が目を開けた。 「あら、お揃いね。」
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