滅亡

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裸のままの瀬織は、にこりと笑った。 体が小型化し、年齢もずいぶんと若く見える。 胸は相変わらずの巨乳である。 髪は、長すぎるくらいに長い。 尻の下まで届いている。 顔もいくぶん柔和になり、日本人的になっている。 瀬織はドジコの肩を叩いた。 「大丈夫そうね。 よかった。」 「アネサーン!」 ドジコは情けない声を出した。 シズカは、うなった。 「じゃあ、エベルキン大国で暴れてるのは、誰?」 瀬織は、顔をしかめた。 「何が起きてるのかしら。」 ハカセはごく手短に立ったまま、説明をした。 瀬織は、話を聞くと、 「わかった。 電話をするわ。」 と、部屋を出ようとした。 ナデシコが、 「アネサン、服を着る時間はあるでしょう。」 と、促した。 「あ、これは失礼。」 瀬織は下着をチェストから取り出し始めた。 服をきて、瀬織が米本と電話をしている。 「母さん、悪かったわね。 留守にして。」 米本は、胸を撫で下ろした。 「まったく、ひやひやしたわ。 何せ、エベルキン大国の襲撃者は、あちこちに、『右道 瀬織 参上』って書き残していたらしいから。」 瀬織は呆れる。 「そんな昔の暴走族みたいな恥ずかしいことしないわよ!」 「いや、まさかとは思ったけど。」 「思ってたのね。」 「で、心当たりがあるんでしょ?」 瀬織は、電話している間に、ドジコが作ったチャーハンがテーブルに並ぶのを見ながら、それに答えた。 「残念ながら、心当たりがあるのよね。 … 天風のクソガキだわ。」 米本にも、わかったらしい。 「なるほど。 しかし、天風に、メリットが少ないわね。」 「母さんにも、情報がないのね。 忠丹国から、天風には、日本の国際的な立場を悪くするために、指示が出てるんじゃないの?」 エベルキン大国は、忠丹国にとっても、面倒な存在と言える。 近隣国でありながら、同盟国ではない。 機会があれば、どうにかしたかったところだろう。
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