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ハカセの脳が、答えを探す。
「いや待て、陣平のは受精しないと実験ではわかっている…
…
いや待て待て、
もしかして、あの、子供になった陣平と、ナニをいたしたら、どうなんだ?
それはわからない。
実証してないからな…
え?あ?
ということは、そういうことだが?」
「かわいくて、食べちゃったのですが…」
ハカセは、滅多に驚かない。
このときばかりは、驚いた。
「ぬわあああにい?!
犯罪だ!
変態だ!
掟破りだ!」
ドジコは、きゃ、と、顔を手で覆った。
「だってー!」
「だってじゃない!
すぐに検査室に来い!」
ハカセは、白衣をひるがえして走って出ていった。
検査結果は、妊娠していた。
そこからが、大変だった。
瀬織の慌てぶりは滑稽なほどだ。
電話でハカセから知らせを聞いたとき、昼間というのに、瀬織は家で飲んだくれていた。
天風の捜索もしていたが、身が入らなかった、というのが実情だ。
話を聞くと、瀬織は
「10分で行く。」
と、電話を切った。
昼間の人目のあるなか、空を飛んで新宿の研究室まで、来てしまった。
航空機並の速度が出るのだ。
それは速いに決まっている。
瀬織は研究室に飛び込み、ドジコを見つけると、無言で腹に手を当てた。
研究室の全員が驚いている間に、瀬織は、ドジコの中の小さくわずかな生命を感知した。
「ほんと!
いる、いるう!」
瀬織はドジコの肩を抱いた。
「でかした。
よし、今日はもういいから、帰りなさい。
あ、護衛をつけねば!
今日はわたしが。
これから、シズカとスラリに交代で張り付かせるか。
うふふ。」
瀬織は久しぶりに元気を取り戻した。
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