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まともに飛行機に乗るわけはないので、瀬織は船と考えていた。
「どこの港に?」
「○○埠頭の貨物船と推定されている。
出港時間と、天風の移動方向からの推定だ。」
「足止めは?」
「貨物船には、大っぴらに仕掛けられない。
足止めに気づかれたら、別の船に変えるだろう」
「わかった。埠頭で捕まえる。
埠頭の人員の避難をすぐに出来るようにして。」
瀬織は、シズカを電話で呼び出した。
「シズカ、今、『レストラン森盛』にドジコがいるから、バイクで来て。
タクシーで帰すから、張り付きを代わって。
私はやることができた。」
と、指示をして、席に戻るとドジコには、急用が出来たから、タクシーで、シズカと帰るように話をした。
瀬織はクルマに乗ると、情報のあった埠頭に向かった。
ドジコは、1人で甘いものを食べて、シズカを待っていた。
窓の外を見ていると、かなり小型の犬を散歩させて初老の男が通りを歩いている。
車道にあまりガラのよくない車が、歩道に寄せて停まっている。
そのクルマの中の人物と待ち合わせなのか、男はクルマに気をとられていた。
若い男が、すれ違うときに、その犬が吠えた。
若い男は、驚いて、腹立ち紛れに犬を激しく蹴飛ばして、踏みつけた。
犬が、ぐったりした。
飼い主の初老の男はとっさのことに、対処できていない。
犬を抱えておろおろしている。
「ひっどい!」
ドジコは、店から出た。
おろおろしている飼い主に、
「おじさん、そのコ、大丈夫?」
と、声をかけた。
「ああ、ひどい怪我をしたようだ。」
飼い主も、どのように損傷しているかはわからないが、どう見ても虫の息である。
犬は内臓をやられたのか、ぐったりしている。
ドジコは、両手で犬の体を挟んだ。
「治れ治れ。」
数分で犬は元気を取り戻した。
飼い主も安心したようだ。
「よかった。ありがとう。」
例を述べて歩いていった。
ガラのよくない車の中から、その様子を見ていた先程の男と、その仲間2人が、クルマを降りてきた。
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