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瀬織も、クルマを降りた。
天風は、少し手前で止まった。
「悪いが、口の動きから、話はわかった。
そちらの仲間が拉致されたようだね。」
仙人に近くなった天風には、離れていても、瀬織の口の動きから、話の内容を知ることができた。
瀬織は疑った。
「まさか、あなたたち…」
「それを疑われるのがイヤで、こうして危険を犯して、ここにいる。
俺たちは、そんなチンケなことは、しない。」
「今日は見逃すわ。」
「それは助かる。
このお礼は、
…そうだなー、その拉致されたお嬢さんのカタキ討ち、手伝ってやろうか?
どうせ、昼間っから拉致するなんて、エベルキンのアホどもの仕業だろ?」
「ごめん被る。
余計なことは、しないで。」
「遠慮するなよ。」
天風は、背を向けた。
瀬織もクルマに乗った。
問題のクルマの情報は、30分近くたってから入ってきた。
警察からの連絡では、統創天会に出入りしている車とわかった。
統創天会は、エベルキン人による全国的な宗教団体で、絶大な力がある。
きな臭いことだらけではあるが、とかげの尻尾切りの要領で、刑事事件の責任から統創天会本体は逃げていた。
ドジコ自身、両親の惨殺され、姉を拉致されるなど、因縁は浅くない。
今は、そのクルマは統創天会 東京の、本部に入っていることがわかっている。
警察が統創天会に出向き、問い合わせているが、知らぬ存ぜぬで、捜査礼状もとれていないため、踏み込めないという。
米本は、礼状を出すべく、手配を急いだ。
瀬織はそれを待ってはいられない。
統創天会の本部に、瀬織は現れた。
13階建てのビルである。
正面玄関にクルマを横付けにして、受付に走る。
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