恋がはじまった。

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放課後━━━ 奥野「おう!北乃!一緒に帰ろーぜ。」 北乃「あ、ごめん。俺、約束あるんだ。」 奥野「そうなの?じゃあ、また明日。」 北乃「おう。」 凛「咲ーー!がんばるんだよ。応援してるからね。また夜LINEして。」 「うんっ。ありがと。」 わたしのクラスに入ってきた北乃くんは、窓際の空いている席に座って、外を眺めてる。 みんなが帰るの……待ってるんだよね。 わたしといるの見られたくない? 教室にとうとう2人きり。 北乃「咲ちゃん。俺、早く放課後にならないかなーって思ってた。」 かわいい。夕日に照らされて、輝く北乃くんの顔は、いつもよりも優しく見えた。 「アップルパイね。」 北乃「おなかすいた。」 「これ………あげる。」 北乃「すごい。ありがとう。」 箱を開ける姿は少年みたい。 嬉しそう。楽しそう。 北乃「食べていいの?これ!」 「いいよっ。」 嬉しそう。 わたしまで嬉しくなる。 北乃「咲ちゃんって、すごいんだね。こんなの簡単に作れちゃうなんて。」 「いやいや、おいしくないかもよ。」 北乃「おいしいっ!」 こんな近くで、こんなに近くの北乃くん。 初めて見る。 北乃「咲ちゃん………」
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