第1章

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「いってらっしゃい!」 お母さんの少し急かすような声とともにわたしは、高校へ足を踏み出した。 高校1年--春。 たぶんね。みんな、胸をドキドキワクワクさせてるんだろうね。 わたしは友達作りがとっても苦手。 自分から話しかけるなんて出来っこない。 掲示板にはクラスが貼り出されている。 人混みの中、自分の名前を探す……。 「北川 咲…北川 咲…あった。」 掲示板に貼られている5組のところに、自分の名前、北川 咲を見つけた。 ともだち………できるかな。できるといいな。 1-5の教室。 こわいことに、中からは話し声が聞こえる。 楽しそうな。 入るのを躊躇していると、肩をトントンと叩かれた。 「…?」 「もしかして、5組?」 「あっ、うん!」 「わたしもっ!よろしくね。佐久間 凛ですっ。わたしさ、引っ越してきたから友達いないんだよね、友達なってくれる?」 「もちろん!」 「やった!」 これが、現在の親友との出逢い。 こんなもんよ。 こんな風にかるーく、そして、どこか気をつかって。 教室に入ると、わたしの机は後ろだった。 凛「えーーいいなー。後ろいいなー。」 「凛は席どこ?」 凛「凛って呼んでくれた。んじゃ、わたしも咲って呼ぶね。」 「うんっ!」 凛「前から二番目。ここってさー、1番先生の目が行くとこだよ。」 「そうだね。(笑)」 凛「後ろだからってぇぇーバカにしてるでしょー」
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