恋がはじまった。

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重い教科書を持って帰り、部屋に投げ捨てるように置いた。 母「咲ちゃーん?おつかい、頼まれてくれない?」 「うんー、いいよー。」 母「ここに書いてるもの、買ってきてほしいの。」 「わかったー!じゃ、いってくるね。」 母「いってらっしゃい。ありがとう。」 小さい紙に書かれたものを買って、暗くなった帰り道を両手に買い物袋を持って歩く。 小さい頃よく遊んでた公園。 あれ…?誰かいる? 北乃「あ、咲ちゃん。」 「ふぇっ!?」 北乃「そんなびっくりしないでよ。ま、仕方ないか。こんな暗いもんね。」 「うわぁ、ほんとに北乃くんだ。」 北乃「なにそれ(笑)」 「こんな姿見られると思わなかったなー」 北乃「咲ちゃん、おつかい?」 「う、うん。まぁね。」 北乃「えらいねー。」 「お母さんに頼まれちゃってね」 北乃「荷物、持ってあげる。送ってあげる。」 「いいよぉ、重いし。」 北乃「重いから持つの。」 「ありがとう。」 何も話せない。 恥ずかしいの?なにか分からない、この気持ち。 北乃くんはなにもそんな素振りなんか見せず、話したり、話さなかったり。 「家、ここなの。ありがとね。」 北乃「あ、うん。また明日ね。」 「ばいばい。」 ポッケに手を入れて、歩いていく北乃くんの背中をずっとずっと見ていた。
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