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「別れるってより、ちひろが直樹と付き合う資格がもう無いんだよ……」
「そんなの、ちひろちゃんの思い込みだって。直くんは今でも、ちひろちゃんの事が好きなんだよ」
みんなの言葉は耳に届いても、心には響かなかった。
一時でも、直樹じゃなくて翔を選んだ。
それが自分の中で、どうしても許す事が出来なかった。
一番嫌だった人間を受け入れようとして、一番大切な人を裏切った。その気持ちが、心に大きな石を乗せたみたいに重くのし掛かっていて苦しい。
みんなが、色々な言葉を投げ掛けてくれたけど、どの言葉も石を退ける力は持ってなかった。
だって、ちひろにその気が無いんだし。
話し合いは、平行線のままで二時間が過ぎた。夕方近くになって、マサト君がお昼寝から目覚めると、話し合いは強制終了するしかなくなった。
「みんな、ゴメンね……」
アパートの外まで、みんなを見送る。
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