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EPⅠ宿命(Das Schicksal)
天照暦37年3月15日
天神幽華の息子天神幽禅(十五)は、いつもと変わりなく倉田中学に通っていた。倉田島の丘に城壁と神殿に囲まれて砂丘の丘に建てられた中学の三年生だ。
「よっ、おはよー」
「あっ、幽禅!おはよー」
「おはよー」
「おはよー」
「幽禅!幽禅ってたらお弁当忘れているよ!」
追いかけてきたのは幼なじみの神室渚だ。幽禅は自転車を降りて渚が跳び蹴りした。
「あっ、悪い、悪いってんだよ。みんなぁっ先に行っていてくれ」
「おう、おう!」
友達数人が中学に向かっていき幽禅は渚から弁当を受け取った。
「ああ。ありがとな。御前も年頃なのだ・・・俺と居て楽しいか?」
「え?何、何言っているよ。私はタダ・・・その・・・」
口籠もるわけだが、内心察していたのは当然幽禅の心だ。
「分かるよ。母さんだ。母さんは心配性だ。それが仇とならなかったら良いのだ。」
「えっ?渚!今の時代は乱世の時代だ。俺達が生き抜いてこの時代の顛末を終局させるのが俺達なんかじゃねぇか?」
「フッフフフフフフフフフフフフフフフ。パパと一緒。パパも言うのよ」
「ああ。小山さんね・・・」
小山薩摩守(こやまさつまのかみ)右大臣左近将監(うだいじんさこんしょうげ)拯齋(じょうさい)之事。渚の父で倉田島の富裕層で丘の一等地に広大な神殿を保有してある。渚と一緒に中学に向かった。
「ねぇってば、中学出たらどこに行くの?」
「え?俺・・俺は津田に行く。御前と別れ離れるが、案ずるな。この身に少しでもみゃ~渚を護る」
「そう・・・」
幽禅は渚を護ると誓った。倉田中学KGU郷土研究会課ここが三年間幽禅と渚が学び、在籍生徒数五百人。全校生徒の二割がこの郷土研究会課に在籍してある。
「ハッハハハハハハハハハ」
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