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ゆっくりと、中の物を傷つけないように慎重にガムテープに切れ目を入れ、荷物を開けた。
中にあったのは、中身が分からないほど厳重にビニールの梱包材で包まれた物と、「貴之へ」とかかれた封筒。
割れ物にしては軽すぎるその物体はいったい何なのか。
分からないままビニールに手を当てた瞬間、その感触から、中身が何なのかを認識できてしまった。
目を閉じてため息をひとつ吐き、そして、ゆっくりとビニールを外す。
中から出てきたのは、貴之が志麻に贈ったクマのぬいぐるみだった。
それはあの最後の日、志麻が貴之に向かって投げつけようとしたもの。
結局投げられることはなく、志麻が持ち帰ったのだが。ここでまたそれを見るとは思いもしなかった。むしろ、もう二度と見ることはないと思っていた。
ずっと大切にしていたはずなのに。まさかわざわざ送りつけてくるなんて。
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