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まだ11時にもなっていない。貴之の普段の生活では寝るにはまだ早すぎる時間と言えるけれど、志麻と一緒の場合はこれが普通だった。
部屋の照明を落とすと、ベッド下にある間接照明のわずかな灯りが部屋を照らす。
それは真っ暗な中では眠ることができない志麻のために購入したもので、志麻との夜のためだけに存在していた。
薄暗い中、貴之はゆっくりと志麻のいる布団に入る。
もともと二人で眠るためのベッドではないため、二人の距離はほとんどない。一度ベッドを買い換えようか考えていたら、志麻が嫌だと言ったので、シングルのままになっている。
一つの布団の中で、志麻はゆっくりと貴之のほうを見上げた。
「……ねぇ貴之、志麻のこと、スキ?」
「好きだよ、志麻」
「ありがとう。おやすみ」
そう言って、志麻は貴之にぎゅっと抱きついた。
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