第二章 三部

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 雪のように白い肌に、ふくよかな唇。クリクリとした大きな目が俺を見つめている。 「……誰?」  見覚えの無い女だ。 俺はスッと立ち上がり女の顔をまじまじと見たが、やはり知らない奴。 「誰ってお前の女だろ?」 「は?俺、彼女とかいねーし。  つうか、兄貴の女だろ?」 「いやいやいやいやいや、それはねえ」 「……じゃあ、誰?」  兄貴と顔を見合せ苦笑する。  どうやら、兄貴は見ず知らずの女を家に入れたらしい。しかも、俺の部屋にだ。 「私の事覚えてないんですか?」  知らない女だと言われたことがほどショックだったのか、表情を曇らせ泣きそうな声で言った。 「だから、知るかよ。――とっとと帰ってくれ」  俺はシッシッっと女を追う様に手を振る。 『この女が何者なのか?』  もはや、そんな事などどうでもいいような話。それよりも、知らない人間が部屋に居たことが気持ち悪くて仕様が無い。
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