第二章 三部

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「帰りたくない!」  俺は女に向かって何度も帰えるように言ったが、本人は『帰りたくない』の、一点張り。 けれど、目的も無いのに居座られては、此方としてもかなり迷惑。 「まあ、気持ちはわかるけど――」 さすがの兄貴も困っているようす。チラチラと此方に目を向け助けを求めてくる。 (普通は逆だろ) ――本当は此方が助けて欲しい位だ。 と、横目で兄貴を睨む。 「だから、帰れっていってんだよ!!」 「やっ――」  俺は女の腕を掴み取り、玄関まで無理矢理引きずる。 女は必死に抵抗していたが、完全に無駄な足掻き。赤子の手を捻るように、あっという間に玄関まで引きずることに成功。 「二度と来んな!」  玄関の扉を開け、女を外へと追い出す。 「――――」  女が何かを叫んでいたが、俺の知ったことではない。 「サヨウナラ!!」 と、激しく扉をしめ、入ってこれないように鍵を閉める。
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