第二章 三部

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「てめえ、舐めた事言ってんじゃねえ~!!」  俺の一言が気に入らなかったのか、突然喰らわされるラリアット。 「ブホッ――」  胸部に感じる衝撃。そして、激痛。勢い余って、床へ押し倒される。 「あー。こりゃ、ストレス解消にもってこいだな」  肩を回している兄貴がフンッと鼻を鳴らした。  なにが、『ストレス解消』だ。 こっちは無駄にストレスが溜まったというのに。と、身体を起こしながら兄貴を睨む。 「つうか、さっさと飯食え」 「飯?……飯!?」  急に思い出した兄貴が食卓を指差す。しかし、そこには飯など存在しない。あるのは、皿に盛られた真っ黒な物体だ。 「……え?何あれ?」  得たいの知れない食べ物を指差し兄貴に訊ねる。 「焼きそば」 「いやいやいやいや、焼き過ぎだろ」 「文句いうなら食うな!! 俺は弁当食ったから、お前は勝手に焼きそばくってろ!!」  兄貴の言っていることは、支離滅裂でまとまりがない。 “俺は実験台か?” そう思わざる得ないこの状況が逆に怖い。――あの爺よりも。
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