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食パンを焼いている間も女は目を覚まさなかったようで、スースーと気持ち良さそうに寝ている。
(いっそのこと、首絞めて殺そうか)
今までされた数々の嫌がらせを思い出すと、良くない考えが脳裏に浮かぶ。
それにしても、この女は綺麗な顔している。
とてもじゃないが、ストーカーするような顔には見えない。
『容姿端麗(ようしたんれい)』
まさにその言葉が似合う。
しかし、殺されかけたのも事実。ナイフ等の凶器を持っていないか、彼女の持ち物であるバッグを漁るが何も出てこない。
特別目につくものと言えば、財布と携帯電話くらいだ。
だが、その携帯が一番曲者だった。
何かの弾みて触れた途端、画面に移る文字の羅列。
中身は全て高松さんに関する個人情報などが書かれている。
「見るなあああ!」
「うわっ!」
突然目を覚まし起き上がった女は甲高い声を上げ、俺の手から携帯電話を奪い取る。
俺はぎょっとして女を見たが、肝心の彼女は携帯電話を大事そうに握りしめていた。
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