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「ストーカー紛いの事して……楽しいか?」
取り乱す女に、俺は訊いた。当然、彼女は驚きはしたものの、首を大きく横に振り否定する。
女が認めるはずが無いことは、端から分かっていたこと。
ストーカーとはそういうもの。自覚していたなら、あんな事はしてこないはず。
「迷惑かけるつもりなんてなかったんです。だけど、あなたが気づいてくれないから――」
けれど、彼女ははにかみながらそう言ってのけた。
少しでも反省するならまだしも、開き直っている所が妙に腹が立つ。
『殺してやりたい』
ふと、頭に浮かんだ危険な誘惑。俺の知らない誰かが、“殺せ殺せ”と、話しかけてくる。
「家まで送るから、帰ってくれ」
俺は本当に殺してしまう前に、彼女を追い出すことに決めた。女は、“嫌だ嫌だ”と泣いていたが、此方としては完全に迷惑。
――独りよがりもたいがいにしろ。
「こっちは迷惑してんだよ!」
と、大きな声でハッキリと言った。
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