第三章

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 女の遺体は自宅からだいぶ離れた場所にある沼に捨てた。  そこは、地元の人間から『底無し沼』と呼ばれている場所。一度はまったら抜けられず、また物を捨てるにはもってこいの場所だ。  それから数週間、マミからのメールや手紙は来なくなった。  やはり、あの女がマミだったらしい。  人形のように可愛らしい顔をしていた為、“もったいない”という後悔は芽生えていたものの、殺したことに関しての罪悪感はまるでない。  悪いのは、俺を怒らせたあの女。俺には何の罪もない。 *** 「お前、目障りなんだよ!! 二度と来るんじゃねえ!!」  高松さん達が車で迎えに来た時の事だ。  日曜日の昼間に単車を扱っていた兄貴と、いつものように助手席から顔を出す高松さんが最悪なタイミングで鉢合わせ。  高松さんは兄貴の一歳下の後輩なのだが、二人の仲はあまり良くない。 というより、兄貴が高松さんを毛嫌いしているのだ。
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