451人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前――ふざけんなよ!」
熱り立った高松さんが、木山さんの頭を思いっきり殴る。
「いってええええ――え?」
最初は絶叫していた彼だが、目前にまで迫る電柱を見た瞬間、唖然としていた。
「“え?”じゃねえよ、“え?”じゃ! こっちは死ぬとこだったんだぞ、コルァ!」
「わ……わわっ!!
すんません!!マジですんません!!」
やはり、木山さんは気を失っていたようす。状況を把握した途端、あたふたと慌てふためき始めた。
普段なら笑って流すところだが、今回は笑えるような状況ではない。
「まあ、そういう時もあるだろ」
なのに安藤さんだけ、“ハハハ”と声を出して笑っている。
「お前、この状況でよく笑えるよな」
高松さんもおかしいと感じたらしい。訝しむような目付きをしながら言った。
「スリルがあっていいじゃん」
しかし、安藤さんの返答には驚かされるものがある。と言うより、異常。
「……スリル?」
さすがの高松さんも、顔をひきつらせていた。
最初のコメントを投稿しよう!