第三章

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 止まっていた車が、再び動き始めた。 鈍い痛みを右肩に感じ洋服を捲ってみると、日焼けした肌に青紫色の染みが出来ていた。  きっと、ぶつけた時に出来た痣だろう。 (木山死ね) と、密かに思いながら外を眺める。  これからどこへ向かうのか、行き先は知らない。知っているのは多分木山さんと高松さん、あと安藤さんくらいだろう。  ボーリング場、ゲームセンター、カラオケ。行き先を色々と考えていると、車はコンビニの駐車場へ入っていく。 (何か買うのか?) そう思っていたが、何故か木山さんはコンビニの入り口から一番遠い場所に止めた。 「降りないんですか?」  誰かが高松さんに訊いた。 「降りる必要はねえ。 ――それよりも、今からおもしれえもの見せてやる」 「はい?」  高松さんが言わんとしている事が全く読めない。 『おもしろいもの』 そんなものが、コンビニのどこにあるというのだろう。 その答えを早く知りたくて、身体がうずうずする。
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