451人が本棚に入れています
本棚に追加
修羅場を目撃したのはこれが初めて。
高松さんは容赦なく女に暴行。女は泣きわめき、高松さんは暴れ狂う。
当然、コンビニの店員に通報され警察が介入するというまでの騒ぎに。
俺達も止めに入ったのだが、高松さんの怒りは治まらず、彼は女と一緒に署へ連行された。
後日、二人は別れたようだ。人伝に聞いた話だから定かではないが、その事に関してはあまり興味がない。
それよりも、今一番気になっているのは視界に入る爺の存在。どこを見ても、視界の隅っこには必ずあの爺の姿がある。
気味が悪かった。
なぜなら、日に日に爺との距離が近付いているような気がするから。
一昨日は、窓の向こうに。昨日は、部屋の中に。
そして今日は足元に。
しかし、何かをしてくるような素振りは見せず、ただぼーっと此方を眺めているだけ。――くり貫かれたような真っ黒な瞳で。
最初のコメントを投稿しよう!