第一章 一部

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 世の中、ごみ箱を漁ろうと思う奴はそうはいない。 まともな考えの奴なら特に。  後は財布と鞄をどうにかすれば恐いモノはなくなる。 ──まあ、男がチクらなければの話だが。  たぶん、それも大丈夫だろう。気の弱そうなあの男は、きっと報復を恐れて今日の事は誰にも喋らないはず。 (今回もうまくいった)  自分の思惑通りに事が進んでいくことに妙な興奮を覚え、俺はギュッと拳を握った。 「ざまあみろ」  他人の鞄を振り回しながら、人気の少ない公園を浮き立つ足で歩く。携帯電話で別行動になった二人と連絡を取った結果、ここで落ち合う事になった。  ベンチでいちゃついてるカップルが珍しいものでも見るかのように俺を見ていたが、そんなことはもはやどうでもいい。  これからやることは山ほどある。だから、他人の事なんて気にしている暇は俺には無い。 と、俺はカップルがいない方のベンチに大股開きで座り、ポケットから携帯電話を取り出した。
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