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「なあ、晴輝」
「なんだよ?」
「あの爺誰だと思う?」
授業中。携帯ゲームに夢中になっている俺に、教室の入り口を指差す太一が言った。
「ホームレス」
常に爺の姿が見ている状態の俺は、適当に答える。
「ホームレスじゃねえよ!
間違いなくあれは幽霊だ!」
俺が真面目に答えなかったせいか、太一が大きな声を出した。
即座に感じる周囲からの痛々しい視線。顔をしかめた教師はふんと鼻を鳴らすと授業をつづけた。
クラスのお荷物である俺達は、まるでこの教室にはいないものとして扱われている。
そう考えると、俺も爺と同じなのかもしれない。なにせ、そこら中に漂っている空気と変わらない存在なのだから。
そんな扱いをされても、気にせずゲームを続ける。
世の中、学校に来ない奴なんかごまんといるのだ。
(そいつらに比べたらマシだろ)
と、俺は自分より下の人間を取り上げ、自分が優位に立った気でいる。
まさに『五十歩百歩』。
本当は優位になど立てていない。
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