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「帰る」
俺は一声出し、勢いよく椅子から立ち上がった。
「晴輝!」
突然の事に驚いた太一が、教室から出ていく俺の後ろを慌てて追いかける。
「急にどうしたんだよ?」
「別に、ダルかったから」
「ダルい?……まあ、分かるけど――」
授業中の廊下はやけに静か。そのため、太一の声が大きく聞こえる。
「――重森クソだし」
「うんこみてえな顔してるよな」
「ぶふっ、どんな顔だよ」
重森の悪口で盛り上がり、俺達は大きな声で笑う。
「うるさい!!」
教室の扉から顔を出した教師が、此方に向かって怒鳴った。
「お前がうるせえ!」
なんて言い返し、風のように二人で逃げる。
誰もいない昇降口まで来ると、俺達は腹を抱えて笑った。
『教師の顔が間抜けだった』
と。
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