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――はずだった。
「お前――」
騙す段階の途中で、太一がヘマをしたのだ。警察にバレるのも時間の問題。
一番危ないのは、前科持ちの高松さん。捕まれば、間違いなく刑務所行きだ。
「すいません!すいません!」
血まみれの親友が、床の上で泣いて謝る。
「“すいません”じゃ、すまねぇんだよ!」
しかし、止まない暴力。先輩達から袋叩きに遭っている親友を前にしても、彼を助けることさえ出来ない。
恐いのだ。太一を助ければ、俺も同じ目に遭わされるんじゃないかと。
「ああああああ――!」
ポタリ……
太一の悲鳴が上がった直後、床の上に何かが落ちた。
目を凝らしてみると、定まってくる物の正体。――耳だ。
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