第一章 一部

13/18

449人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
 素早く暗証番号を解除し、待ち受け画面を開く。すると、画面上にメールの着信があったことが表示されている。  登録しているSNSからのメールだ。どうやら、ミニメが届いているらしい。 たぶん、いつもメールを交わしている女からだろう。  俺は、迷わずそのサイトへアクセスした。 “今暇? メールしよ”  即座に表示される文章。無駄にハートを乱用していて、背中がむず痒くなる。  ハートの絵文字ををよく使う奴は好きじゃない。それは、男でも同じこと。 “めちゃくちゃ暇(ハート)マミはなんしよん?”  けれど、俺はあえて嫌いな絵文字を使い、女と同じ土俵に立つ。 そうすることで、このサイトにいるほとんど女は体よく勘違いをしてくれる。  それほど、このサイトには軽い女が多いのだ。 (つうか、暇じゃねえし)  嘘吐きな自分に小さく笑う。それと同じタイミングで震えだす携帯電話。見てみると、マミという女からの返信メールだった。 “なにもしてないよ~(ハート)あのさ、ヒロ君好き~(ハート)” 女からのメールは、またもやハートが多い。それに加え、内容もピンク一色。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

449人が本棚に入れています
本棚に追加