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「それより、早く飲もうぜ」
鬱憤(うっぷん)を晴らしたことで機嫌が戻った高松さんが、鼻歌を歌いながら廃墟の方へ歩いて行く。
「こ、こいつどうするんスか!?」
俺のひとつ上の先輩である良平(りょうへい)君が恭輔を指差す。
彼の名前は中村良平(なかむらりょうへい)。体格が良く、そして喧嘩の強い彼は俺と同じ中学の出身でとても面倒見の良い先輩だった。
高校生になった今でも、よく彼の世話になっていた事を今でも忘れずに覚えている。
「そこら辺に捨ててろ」
「で、でも──」
「あ? お前もああなりてえんか?」
「い、いや──すいません」
しかし、良平君は連む相手を間違えてしまったようで、常に高松さんの言いなり。茶色い頭を何度も下げている姿を見ていると、以前の面影は全くない。
「さすが高松さん──」
今では、どうしょうもないクズに成り下がってしまった。
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